トマス・ハーディ (Thomas Hardy, 1840-1928)
イングランドの詩人、小説家。ドーセット (Dorset) 州生まれ。子供の頃より石工の父親にバイオリンを教わり、 母親からは本に親しむ教育を受けて育つ。16歳から建築見習いの職につき、 1874年に出版された4番目の小説 Far from the Madding Crowd の成功から、 以後文筆活動に専念するようになる。 時代を代表する流行作家となったが、Tess of the D'Urbervilles (1891) や Jude the Obscure (1895) に見られる「悲観主義」や「不道徳性」が激しい攻撃を受け、 後者を最後に小説の筆を絶つ。その後は詩作に専念し、Wessex Poems (1898) など8册の詩集を出版し、 900篇を越える作品を残した。 ワーズワス (William Wordsworth) やロバート・ブラウニング (Robert Browning) に倣って 平易な日常語で詩を書く一方で、韻律や詩型については様々な実験を繰返し、今日では「現代詩の父」と評価されている。同じことが彼のバラッド詩についても 言える。 ハーディは、スウィンバーン (A. C. Swinburne) やキプリング (Rudyard Kipling) と並んで 最も多くのバラッド詩を残しているが、物語の題材や技法など伝承バラッドの持っている多様な側面を余すところ無く実験している。 ハーディの小説中の農民たちがうたうバラッドは当時のドーセット地方でうたわれていたものであり、 ナポレオン戦争を題材とした大作叙事詩劇The Dynasts (1904, 1906, 1908) をハーディは当初バラッド形式で書こうと目論んでいた。 (M. Y.)
原詩(英詩) | 訳詩 |
1. 「あら 私の墓を掘っているのは」 | |
2. At Shag's Heath | |
3. The Ballad of Love's Skeleton | |
4. The Brother | |
5. The Catching Ballet of the Wedding Clothes | |
6. The Dance at the Phœnix | |
7. The Dark-Eyed Gentleman | 7. 黒い目の紳士 |
8. The Dead and the Living One | |
9. The Forbidden Banns | |
10. The Harvest Supper | 10. 収穫祭の宴(うたげ) |
11. Her Immortality | |
12. In the Days of Crinoline | |
13. Leipzig | |
14. The Lost Pyx | |
15. The Mock Wife | |
16. The Moth-Signal | |
17. No Bell-Ringing | |
18. The Pair He Saw Pass | |
19. The Peasant's Confession | |
20. A Practical Woman | |
21. The Rash Bride | |
22. The Revisitation | |
23. The Ruined Maid | |
24. The Sacrilege | |
25. San Sebastian | |
26. The Satin Shoes | |
27. The Second Night | |
28. The Slow Nature | |
29. A Sunday Morning Tragedy | |
30. The Supplanter | |
31. A Trampwoman's Tragedy | 31. 出稼(かせ)ぎ女の悲しい物語 |
32. Valenciennes | |
33. The Vampirine Fair | |
34. The Well-Beloved | |
35. The Widow Betrothed | |
36. The Workbox |