ウィリアム・クーパー (William Cowper, 1731-1800)


1731 年11月15日、バーカムステッド (Berkhamsted) の牧師の家に生まれたイングランド詩人。クーパーは子供の頃から神経過敏で憂鬱症であり、何度も自殺を試みている。いとこのセオドア (Theodore Cowper) との結婚が叶わなかったことも原因して、憂鬱症は悪化し、自分は神様から見捨てられていると考えるようになる。1765年からアンウィン牧師 (Morley Unwin) の家に寄宿し、牧師の死後、未亡人のメアリー (Mary Unwin) と生涯一緒に暮らすことになる。福音主義派牧師ニュートン (John Newton) の影響を受け、1779年には共同でOlney Hymns を 書いた。 1770年には弟が亡くなり、精神的に不安定になるが、メアリーに励まされて “The Progress of Error” や “Hope” などの詩を書き、1782年に最初の詩集を出版する。この頃に匿名で出版し、大人気となったバラッド “The Diverting History of John Gilpin” は隣人のオースティン (Lady Austen) がクーパーの気分を晴らすためにパーティーで語った話が基になっている。この作品にはドジな庶民の哀歌をうたうユーモアが溢れており、伝承 バラッドの本質がよく表現されている。 無韻詩の大作The Task (1785) が有名であるが、彼の功績の一つには産業革命の真っただ中にありながら自然美をうたい、ロマン主義への先駆けとなったことがあげられる。 (M. I.)

原詩(英詩) 訳詩
1. The Diverting History of John Gilpin 1. ジョン・ギルピンのおかしな物語