トム・テイラー (Tom Taylor, 1817-80)



イングランドの劇作家、批評家、ジャーナリスト、伝記作家、公務員。1817年10月19日、ダラム州サンダーランド (Sunderland) 近くのビ ショップウェアマウス (Bishopwearmouth) の裕福な家庭に生まれる。1832年にグラスゴー大学へ進み、37年にはケンブリッジ大学のトリ ニティ・カレッジに入学。40年に古典と数学の学士号を取り、さらに42年に修士号を取得。44年にロンドンへ移り、45年から2年間ロンドン大学で英文 学の教授を務めながら、法律を学ぶ。46年に弁護士となり、50年に中央保健庁の次官補になるまで、北部の巡回裁判を行なった。54年には主任事務官に選 ばれ、中央保健庁が廃止された58年には内務省に移り、76年に退職する。

一方、ジャーナリストとしてはMorning Chronicle や Daily News の社説を書き、1844年以来74年まで Punch にも寄稿、それ以降は編集者となる。また The Times や The Graphic に芸術批評も書いており、画家 B. R. Haydon や C. R. Leslie、Joshua Reynolds の伝記も出版している。

そ れと同時に、早い時期からテイラーは特に演劇に興味をもっており、1842年に Frederick Ponsonby や Charles Taylor とアマチュア劇団 Old Stagers を創設。この現存する最も歴史の長いアマチュア劇団で20年以上も活動を続けた。1844年には彼の戯作4作品がライシーアム劇場で上演されている。 1846年のコメディー To Parents and Guardians は彼にとって最初の成功を収めた作品となる。 Albert Smith や Charles Kenney、Charles Reade らとの共作やフランス劇の翻案、ディケンズ (Charles Dickens) などの小説を脚色したものも含めると、テイラーが生涯を通じて書いた劇作品の数は約100作品にものぼる。代表作には Masks and Faces (1852; Readeとの共作)、Plot and Passion (1853)、今日でもよく知られている Our American Cousin (1858)、当時の人気作品 The Ticket-of-Leave Man (1863) などがある。後期になると The Fool’s Revenge (1869) やTwixt Axe and Crown (1870)、Joan of Arc (1871)、Lady Clancarty (1874)、Anne Boleyn (1875) などの歴史劇も書いている。 (N. M.)

原詩(英詩)  
1. Ballad of the Judge and the Master