ジョン・ペイン (John Payne, 1842-1916)


1842 年8月23日デヴォン州に生まれる。貧しさのため13歳で働き始めるが、本、言語、詩を愛し、10歳でホラティウスの『オード』(Odes) の一部を訳したり、12歳でマコーリー (Thomas Babington Macaulay, 1800-59) の Lays of Ancient Rome (1842) をまねて詩作をしたりしていた。家族でブリストルへ移ると、学校へ行き、フランス語、ラテン語、ギリシア語を学び、また独学でドイツ語、アラビア語、その 他多くの言語を習得する。19歳になるとロンドンへ行き、法律の仕事をする一方、詩人オショーネシー  (Arthur O’ Shaughnessy, 1844-81) と知り合い、ラファエル前派の詩人たちと交友を持つようになる。このころ、彼の創作活動の詩神ともなるべき Mrs. Helen Snee と出会う。

ペインの詩集 The Masque of Shadows (1870) と Intaglios (1871) は、当時スウィンバーン (A. C. Swinburne) やアーノルド (Matthew Arnold)、ロセッティ (D. G. Rossetti) の賞賛を受け、Intaglios はフランスでも好評を博す。1872年にはパリを訪れ、バンヴィル (Théodore de Banville) やマラルメ (Mallarmé) などフランスの詩人たちとも親しくなる。1877年には Villon Society を設立し、自らの翻訳 The Poems of Master Francois Villon (1878) はその最初の出版物となった。80年代、90年代、ペインは数多くの、そして様々な言語の翻訳を手がけている。代表的なものには『アラビアン・ナイト』(The Arabian Nights, 1882-84) やボッカチオの『デカメロン』(The Decameron of Boccaccio, 1886)、ペルシア詩人ハーフィズ (Hafiz, 1325/26-89/90) の詩の翻訳 (The Poems of Shemseddin Mohammed Hafiz, 1901) などがあり、彼は今では主に翻訳家として知られている。 (N. M.)

原詩(英詩)  
1. The Ballad of Isobel  
2. The Ballad of May Margaret