マシュー・プライアー (Matthew Prior, 1664-1721)


 

イングランドの詩人、外交官。ドーセット州ウィンボーン (Wimborne) に生まれ、ケンブリッジ大学セントジョン・カレッジに学ぶ。ハーグでのリズウィック条約締結 (1697) には使節団の一員に加わり、'Matt's Peace' として知られるユトレヒト平和条約締結 (1713) では中心的な役割を演じた。アン女王の治世下、トーリー党員であったプライアーは、女王の 死後、ホイッグ党に捕らえられて、2年間の獄中生活を送る。政治的、哲学的な詩もあるが、詩人としての名を高めたのは、折にふれて書かれた軽い調子の詩群 や諷刺詩であり、物語詩では優れた物語技法を発揮している。バラッド詩 Henry and Emma (1709) は、後に Thomas Percy の Reliques of Ancient English Poetry (1765) に収められた古い伝承バラッド The Nut-Brown Maid をセンチメンタルにパロディ化したものであり、Alma; or the Progress of the Mind (1718) は様々な哲学体系を諷刺化した対話形式の作品である。散文作品の中にも、Oliver Cromwell (1599-1659) と彼のポーターなど4組の者たちによる架空の対話集である Four Dialogues of the Dead (1721) がある。1721年にコレラで亡くなり、ウェストミンスター寺院の、プライアーが深く敬愛していた Edmund Spenser (1552?-99) の側に埋葬された。 (M. Y.)

原詩(英詩)  
1. Down-Hall  
2. Henry and Emma  
3. The Thief and the Cordelier -- A Ballad  
4. Viceroy