W・ハリソン・エインズワース (W. Harrison Ainsworth, 1805-82)


イングランドの詩人。1805年2月4日、マンチェスター生まれ。十八世紀初頭のロンドン近郊に出没した追いはぎ Dick Turpin (1706-39) の人生を理想化して描いた Rookwood (1834) の発表により文学界に華々しくデビューする。イングランドの歴史や習俗に題材をとった歴史小説群は、'Waverley' novelsによって歴史小説というジャンルを築き上げたスコット (Sir Walter Scott, 1771-1832) の後継者を求める読者や批評家たちに熱狂的に受け入れられ、次々と空前のヒット作を生み出した。エインズワースの小説は、サッカレー (W. M. Thackeray, 1811-63) が批判の矛先を向けた、いわゆる 'Newgate' novels のひとつに分類されることがあるが、The Lancashire Witches (1849) を頂点とするランカシアの地誌に題材をとった作品群は、扇情的な大衆作家という枠組みでは捉えられない、郷土愛や民衆文化への暖かい眼差しに 根ざすものである。小説に組み込まれるバラッド詩は、その想いが結晶化したものではないか。現在、彼は「ランカシアの小説家」という呼称で地元の人々の間 で親しまれている。 (Y. Y.)

原詩(英詩)
1. The Barber of Ripon and the Ghostly Basin
2. Black Bess
3. The Custom of Dunmow
4. The Legend of the Lady of Rookwood
5. Old Grindrod’s Ghost
6. The Old Oak Coffin