ストップフォード・オーガスタス・ブルック (Stopford Augustus Brooke, 1832-1916)


アイルランドの聖職者、文芸批評家。1832年11月14日、アイルランド北西部ドニゴール (Donegal) 県の グレンダウアン (Glendowan) に生まれる。ダブリン大学トリニティ・カレッジで学び、1857年に英国国教会の聖職位を授けられる。1863年か ら65年まではベルリンでフリードリヒ王妃付きの牧師を、75年にはヴィクトリア女王付きの牧師を務める。1880年には英国国教会を離れて、ブルームズ ベリー (Bloomsbury) のベドフォード教会のユニテリアン派の聖職者となる。しかし1894年にベドフォード教会は取り壊されて、それ以後所属教会は持たなかった。自らの教会は 持たずとも、ブルックは巧みな弁説と宗教的な人柄で著名な存在だった。文学にもまた多大な関心を寄せ、鋭い文芸批評家でも あった。1893年5月11日、ブルームズベリー・ハウスで、ロンドン・アイルランド文芸協会の開式講義を行ったが、その題目は「アイルランド文学を英語 で表現する必要性と方法について」(‘The Need and Use of Getting Irish Literature into the English Tongue’) というものだった。ブルックはこの講義で、アイルランド詩はアイルランド人のものというだけではなく、普遍的な人間の興味と情熱に対して 存続するものである、という主張を行った。主要な作品に『英文学』(English Literature, 1876)、『古代英文学史』(The History of Early English Literature, 1892)、『創成期からノルマン人の征服までの英文学』(English Literature from the Beginning to the Norman Conquest, 1898) がある。ブルックと娘婿のT・W・ロウルスタン(T. W. Rolleston) の共編で『英語によるアイルランド詩の宝物』(A Treasury of Irish Poetry in the English Tongue, 1900) がある。1916年5月18日死去。 (H. N.)

原詩(英詩)  
1. The King and the Huntsman