トマス・チャタトン (Thomas Chatterton, 1752-70)



1752 年11月20日にブリストル (Bristol) で生まれたイングランドの詩人。1760年にコルストン慈善学校 (Colston’s Charity) へ入学したが、教わる内容は読み書きと教理教育など限られたものだった。父親の家系に代々教会の寺男が多かったことや父親が古物愛好家だったことから、彼 は聖メアリ・レッドクリフ教会 (St Mary Redcliffe) の書類保管庫に通って古文書に親しんだ。16歳のころ中世風の文字、つづり、文体を駆使して15世紀の修道士トマス・ ローリー (Thomas Rowley) という架空の名で詩を書いた。それらの作品は、その作者をめぐって物議をかもした。1770年、ロンドンに出たが生活が苦しく、18歳の時ヒ素で自殺し た。Poems supposed to have been written at Bristol by Thomas Rowley and others, in the Fifteenth Century (1777) は死後刊行された。

彼 の早熟な才能の開花した作品とその悲惨な結末がロマン派詩人などに影響を与え、コールリッジ (S. T. Coleridge) の “A Monody on the Death of Chatterton” やキーツ (John Keats) のソネット “To Chatterton” など、多くのチャタトンにまつわる作品が生み出された。

バラ戦争を背景にした “Bristowe Tragedie: or the Dethe of Syr Charles Bawdin” は完璧なバラッド・スタンザと古風なつづりにより、中世の歴史を効果的に表現している。 (M. I.)

原詩(英詩) 訳詩 
1. Bristowe Tragedie: or the Dethe of Syr Charles Bawdin 1. ブリストウの悲劇
2. An Excelente Balade of Charitie