18世紀のイギリス でバラッド詩という新しいタイプの詩が生まれ、以来、今日まで独特のバ ラッド模倣詩が生み出されて来ました。当ホームページ「英国バラッド詩アーカイブ」は、バラッド詩研究の基盤を整備するために、製作者が知りうる限りでの バラッド詩を網羅的に蒐集したものであります。

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アン・リンズィ夫人 (Lady Anne Lindsay, 1750-1825)


 

スコットランドの詩人、旅行記作家。東部の旧ファイフ州に生まれる。結婚して 'Lady Anne Barnard' となり、夫に同伴して南アフリカに渡り、英国によるケープタウン植民地化の初期の貴重な記録となる見聞録 Lady Anne Barnard at the Cape (1797 - 1802) を執筆した。

1771年に書かれたバラッド詩 "Auld Robin Gray" は最初匿名で発表されて大人気を博し、David Herd 編纂の Ancient and Modern Scottish Songs, Heroic Ballads, Etc. (1776) にも収録されたが、彼女は死の2年前まで自分が作者であることを公表しなかった。話の筋立は伝承バラッド "James Harris (The Dæmon Lover)" (Child 243) そっくりである。しかし、結論の付け方には天地の差がある。伝承では、女は戻って来た亡霊の恋人を再び愛して一緒に船出し、やがて悪魔の正体を見 せた恋人が船を真っ二つに打ち砕き、二人は諸共に海の底に沈んでゆくという、迫力満点の超自然的ドラマを展開するのに対して、恋人のことを思い続けること は罪であると納得して良き妻であろうとする主人公をうたうリンズィ夫人の作品は、健全なる小市民的まとまりを見せている。  (M. Y.)

原詩(英詩)  
1. Auld Robin Grey