E・R・B・リットン(オーウェン・メレディス) [ E. R. B. Lytton (Owen Meredith), 1831-91]



初代リットン伯爵。英国の政治家、詩人。ペンネームはオーウェン・メレディス。初代リットン男爵で小説家のエドワード・ジョージ・ブルワー・リットン (Edward George Bulwer-Lytton, 1st Baron of Lytton) の息子として、1831年11月8日にロンドン中心部のメイフェア (Mayfair) で生まれる。ロンドンのトウィッケナム (Twickenham)、ブライトン (Brighton)、ハロー (Harrow)、ボン (Bonn) で教育を受ける。幼少期からの貪欲な読み書きが リットンの文学への情熱と詩作の腕前を培った。1850年に父の兄で米国ワシントンD.C.公使のサー・ヘンリー・ブルワー (Sir Henry Bulwer) の無給の随行員となり、外交官の道を歩み始めた。リットンは生涯外交官の務めを全うし、駐在した海外の都市は10カ所以上に及んだ。 1875年11月に、時の宰相ベンジャミン・ディズレーリ (Benjamin Disraeli) よりインド総督を命ぜられる。リットンの統治期間には、1千万人以上の犠牲者を出した1876年から78年の大飢饉と、1878年から 80年のアングロ・アフガン戦争によって、インドは著しく疲弊した。大飢饉はリットンの政策による人為的なものだったと主張する歴史家もいる。オーウェ ン・メレディスというペンネームで、リットンは『クライタムネストラ』(Clytumnestra and Other Poems, 1855)、『放浪者』(The Wanderers, 1859)、『ルシール』(Lucile, 1860) などの作品を刊行している。『オーウェン・メレディス叙情詩』(A Few Lyrics of Owen Meredith, 1877) は、ベンガル音楽学校校長のタゴール (Sourindro Mohun Tagore) によってヒンドゥーの旋律が付されてリットンに献呈された詩集であるが、これは1877年のヴィクトリア女王のインド女帝就任を祝うための 出版であった。 (H. N.)

原詩(英詩)
1. Aux Italiens