ロバート・ブリッジズ (Robert Bridges, 1844-1930)


イングランドの詩人。1844年10月23日、ケント州に生まれる。オックスフォード大学イートン・カレッジとコー パスクリスティ・カレッジで教育を受け、その後、聖バルトロメオ病院で医学を学ぶ。1881年までは内科医としていくつかの病院に勤務した。82年に肺の 病に罹って退職し、文筆活動に専念した。84年に結婚した後、イングランド南部のバークシア (Berkshire) のヤッタンダン(Yattendon) やオックスフォードのボアズ・ヒル (Boars Hill) で人里離れて暮らした。ブリッジズは賛美歌創作にも大きな貢献をなしたが、1899年の『ヤッタンダン賛美歌集』(Yattendon Hymnal ) は彼の住んだ土地の名前からとられている。コーパスクリスティ・カレッジではホプキンズ (Gerard Manley Hopkins, 1844-89) と出会い、ホプキンズはブリッジズの親しい、また影響力の強い友人となった。ホプキンズの詩人としての名声が確立したのは、ブリッジズが ホプキンズの死後の1918年に彼の詩集を出版したことによる。ブリッジズは1893年に大きな反響を呼んだ『ミルトンの韻律学』(Milton’s Prosody) を書いた。その中でブリッジズはミルトンの『闘士サムソン』(Samson Agonistes, 1671) の韻律を精査し、ミルトンは、12音節となる行では、6番目の音節での行中休止、それはアレキサンダー格の詩行を半行ずつ2つに分ける役目をし ているのだが、その行中休止を避けているということに気付いた。韻律についてのこのようなブリッジズの試行錯誤は「ネオ・ミルトニクス」または「ルース・ アレキサンドリン」という韻律として実現された。「ネオ・ミルトニクス」とは12音節の詩行に不規則な間隔で6つの強勢が置かれる韻律である。ブリッジズ は「韻律の美しさは意味や用語に従う永遠の自由があることだ」と語っている。ブリッジズはこの韻律を『美の誓約書』(The Testament of Beauty,1929) で用いた。この詩集によってメリット勲位を授けられた。1913年桂冠詩人。1930年4月21日死去。 (H. N.)

原詩(英詩)  
1. Screaming Tarn