シドニー・ドベル (Sydney Dobell, 1824-74)



イングランドの詩人、批評家。ワイン商人の息子として生まれ、生涯学校教育を受けることはなかった。ドベルは感情を仰々しく表現することを特徴とする「痙攣 派」の代表的詩人である。この一派の評判は、彼らを嘲笑的に「痙攣派」と名づけた W. E. Aytoun (1813-65) の痛烈な風刺詩劇 Firmilian (1854) の出現によって地に落ちた。現在に至るまで評価の低いこの詩人を当時最も高く評価していたのは、Dante Gabriel Rossetti (1828-82) であろう。彼はドベルの “The Ballad of Keith of Ravelston” (1856) を高く評価し、自らが最高の詩人と敬愛するキーツ (John Keats, 1795-1821) に比肩すると褒め称えた。このバラッド詩には、Keith of Ravelston に出会ってしまったため、亡霊として永久にこの世に留まることを強いられた乙女の物語が、抑制された叙情性をもってうたわれている。主な作品に、Sonnet on the War (1855)、England in Time of War (1856) など。 (M. M.)

原詩(英詩)  
1. The Ballad of Keith of Ravelston  
2. Daft Jean